Clerkenwell Design Week 2026:マテリアリティ、モジュラリティ、そして人間中心のデザイン
IROCO Designでは、世界のデザイントレンドを継続的に調査し、日本市場へ還元する取り組みの一環として、ロンドンで開催されたClerkenwell Design Week 2026を視察しました。世界有数のデザインフェスティバルのひとつである本イベントは、ワークプレイス、ホスピタリティ、住宅、公共空間における新たなデザインの方向性を把握する貴重な機会...
IROCO Designでは、世界のデザイントレンドを継続的に調査し、日本市場へ還元する取り組みの一環として、ロンドンで開催されたClerkenwell Design Week 2026を視察しました。世界有数のデザインフェスティバルのひとつである本イベントは、ワークプレイス、ホスピタリティ、住宅、公共空間における新たなデザインの方向性を把握する貴重な機会となっています。IROCO Designは、Salone del Mobile、Clerkenwell Design Week、Passenger Terminal Expoをはじめとする国際的な展示会へ年間を通じて参加し、日本国内のお客様への提案や調達戦略、プロジェクト計画に活かすための最新情報を収集しています。

今年で15周年を迎えたClerkenwell Design Weekは、これまで以上に規模が拡大し、街全体を巻き込んだ没入感のあるイベントとなっていました。ショールームや展示会場だけでなく、Clerkenwell地区全体がイベント会場となり、カフェやフローリスト、街路や中庭までもがフェスティバルの一部として機能していました。エリア全体に施された象徴的なピンク色のサインやマーキングは、強いビジュアルアイデンティティを形成すると同時に、来場者の回遊性を高める役割も果たしていました。
展示やインスタレーションを通じて特に印象的だったのは、「素材性」と「クラフトマンシップ」への再評価です。天然石、テラゾー、ブラッシュ仕上げの金属、質感豊かなセラミック、織物、手仕事による木材仕上げなどが数多く見られ、ミネラルグリーンや深みのあるレッド、温かみのあるニュートラルカラーとともに表現されていました。多くのブランドは装飾性を追求するのではなく、触感や耐久性、細部へのこだわりを重視しており、より感覚的で落ち着きのある空間づくりへのシフトが感じられました。

照明分野も大きな注目を集めていました。特に、歴史的建築であるHouse of Detentionなどの会場では、空間と照明の融合が印象的に演出されていました。彫刻のような装飾照明、充電式のポータブルライト、柔らかな建築照明、さらにはオフィスやホスピタリティ向けの音響機能を備えた照明など、多様なソリューションが展示されていました。現代的な照明デザインと歴史的な産業建築との対比は、イベントを象徴する空間体験のひとつとなっていました。
また、スカンジナビア、スペイン、イタリアのブランドが特に強い存在感を示しており、ワークプレイス家具、音響ソリューション、サーフェス材、照明分野において数多くの新製品が発表されていました。カテゴリーを問わず共通していたのは、「モジュラリティ」「柔軟性」「適応性」の重視です。ワークプレイス、住宅、ホスピタリティの境界が曖昧になるなか、用途や環境の変化に対応できるデザインへの需要が高まっていることがうかがえました。

サステナビリティへの取り組みも、これまで以上に成熟した形で浸透していました。環境配慮を前面に打ち出すのではなく、再利用可能な展示構造、リサイクル素材、修理可能な製品設計、長期使用を前提とした耐久性など、循環型デザインの考え方が自然に組み込まれている点が印象的でした。
Clerkenwell Design Week 2026は単なる製品展示会ではなく、長く愛される素材、人間らしい体験、柔軟な使い方を重視する業界全体の方向性を映し出す場となっていました。IROCO Designでは今後も世界各地の主要なデザインイベントを訪問し、そこで得た知見を日本国内のプロジェクトへと還元してまいります。こうした現地での観察を通じて、グローバルなトレンドを理解し、日本市場に適した新たな可能性を探求し続けていきます。
今後も世界各地のデザインシーンからの最新レポートをお届けします。ぜひご期待ください。